田岡博之建築設計事務所 HIROYUKI TAOKA ARCHITECTS
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東京都国立市中1-18-30国立スカイビル301
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敷地は、南側に厳島神社のある厳島(宮島)を臨む瀬戸内海、北側に中国山地を背負った斜面地にあります。敷地の斜面地は、浅い海底の先にある厳島へと通じ、ひと繋がりの地形にあります。
敷地境界線で囲われた敷地を超えた、この瀬戸内の風景のスケールと一体になった家を目指しました。
この家は、斜面の等高線に平行に建ち、敷地前の道路に斜めに建ちます。
南北にも東西にもひな壇上になっている宅地の中で、この家は周囲とは少し違った角度の配置となります。隣家とは正面に向かい合わず、斜面地を自然と見下ろすように厳島へと視線が向けられます。道路からは、家の周囲にできた庭へと視線が抜け、その先の海の存在を道往くひとに知らせます。
敷地をゆったりと活かせるように、家は中央に配置し、基礎を小さくしながら庇を回りに大きく出すことで、半屋外的な家と庭の広がりをつくっています。家の回りにできた庭は敷地の先に延びる瀬戸内の風景へと繋がっていきます。
家の平面は民家の田の字プランの真ん中に土間と吹抜けを通したシンプルなつくりで、上下階がほぼ同じ構成です。土間と吹抜けは周囲にできた庭と同じくらいのサイズで家の中央を貫いています。
家は、厳島を舞台とした能舞台の客席のように、一階は平土間、二階は高土間という環境舞台のような場になっています。上下階それぞれに違った視点で瀬戸内海を臨む広間となっています。
屋根は中国山地の斜面を描くような勾配で架かっています。一階の外壁は地面との関係と手の届くメンテナンスができる木貼りとし、二階は庇の屋根仕上げと繋がる明るいガルバリウムとして、かつての造成前にあった地表面を現すような切り替えになっています。
内部は、モルタル金ゴテ、板間、すのこ、畳敷きなど、生活する居場所に応じて床の素材を設えています。それらの場所がすべて回りの風景との繋がりの中でできています。
等高線に沿う配置とシンプルな日本の木造架構でできたこの家は、住み手だけでなく周囲に対してもその大らかなスケール感と瀬戸内の環境を示してくれる存在になってくれると思っています。
設計監理:田岡博之
構造設計:mono 森永信行
施工:(有)アルフ 担当 横山宗宏
写真:太田拓実